01月24日(木)

 僕が中学生の頃、卓球部に所属していた。その卓球部の試合で県大会に出場することになり、都会のほうへ遠征をしに行った時のことだった。

 うちの卓球部は市内でそこそこ程度の実力でしかなかったため、県大会ではひどい結果となり、かなりの暇ができてしまった。ほぼすべての部員の出番が終わり、残すは1,2名ほど。それも参加人数が多いためになかなか出番が回ってこず、その試合を残している部員も含め、とても暇なのであった。

 うちの部員の中でもかなり弱い部類に入る、遊ぶのが大好きなやつがいるのだが、そいつと、一緒によくつるんでいる部員らが公衆電話で何か賑やかに遊んでいるのを目撃した。暇だからって公衆電話でいったい何やってるんだと思ってそばに近寄っていくと、

 部員「おい!ちょっと来てみ!1111って押してみ!」

 と、遊びたがりの部員に言われた。1111ってなんなんだ、どこかのコールセンターとか警察署的なところにかかるのか、と思ったが4桁だしなんなんだろうと思い、とりあえず言われた通りに押してみた。

 
 しかし、何も起こらない。


 どこにもかかる気配もない。

 なんだ、僕をからかったのか?

 そう思っていると――


 trrrrrr!!!!!!!!

 突然、公衆電話に電話がかかってきた!


 な、なんでだ!?公衆電話に電話がかかってくる!?はじめて目撃した光景だ。黒電話の着信音のような音で、それもかなり大きい音だった。電話番号が1111の場所からの電話なのだろうか?とはいえ、公衆電話に電話がかかってくるなんてことがあるのだろうか?よく状況がわからなかったが、僕はとりあえず電話を取ってみた。


 僕「も、もしもし・・・」


 しかし、反応はない。


 1111にかけた先の人から電話がかかってきたのかと思ったが、どうやらそんな様子でもない。それに、「ツーツーツー」といったような電話が切れた音もない。鳴った音は、黒電話のような着信音だけ。公衆電話に電話がかかってきたのは間違いないものの、誰からかかってきたのかもわからない。

 部員「な!?すごいやろ!?遊びでかけてたらこうなったんやけど、なんなんやろな」

 周りの部員たちも不思議そうにこの光景を眺めていた。そのあとも、原因を解明しようとして何度も1111に電話をかけたり、2222や3333などの番号に電話をしてみたりもした。しかし、公衆電話に電話がかかってきたのは1111だけ。一旦1111に電話をして、電話を取らずに待ってみたりしたものの、何回かコールがあって切れるだけ。意味が全くわからない。暇な部員たちみんなで卓球のことなどそっちのけで公衆電話の謎に夢中になっていた。

 1111に5回ほどかけたものの、何も進展もなく、解明も全くされなかった。あまりにも恐ろしいし、それでいて面白い。この謎をどうにかしたいという思いと、大人の力が欲しいという理由で、24歳の卓球部顧問の新米教師(茶髪)を呼ぶことにした。

 先生はすぐに来てくれた。頭の上に「?」マークが大量に浮かんでいるような顔を浮かべていた。とりあえず、遊びたがりの部員が事情を説明する。

 部員「先生!この公衆電話、電話がかかってくるんですよ!」

 先生「は?そんなことないやろ」

 部員「いや本当なんで!電話かかってきたら取ってみてくださいよ」

 先生「はぁ。」

 先生はさらに頭の上に「?」マークが大量に浮かんでいる顔になっていたが、さきほどと同じように1111に電話をした。

 すると、今までと同じように電話がかかってきた。


 trrrrrrrrrr!!!!!!!!!


 先生「うぉ!かかってきた!」


 電話がかかってきた瞬間、先生の体は反射反応でビクッと震わせていた。頭の上の「?」マークが「!」マークに変わったような顔を浮かべ、先生はビクビクしながら公衆電話の受話器を手に取った。


 先生「も、もしもし・・・」


 もちろん反応は無い。


 先生の顔はみるみるうちに青ざめていき、呆然と立ち尽くしていた。そりゃそうだろう。知らない相手からの電話がなぜか公衆電話にかかってきて、受話器を取っても反応が一切ないのだから。怖くて怖くてたまらなかったのだろう、「変ないたずらはやめろよ!他の部員の応援せえ!」などという捨て台詞を吐き、足早に公衆電話の場から去っていった。

 その光景に僕含む部員たちは大笑い。それに、応援しなければならない部員も公衆電話の場にいたのだ。誰も卓球に目がいっていない。100%公衆電話だ。ただ、とてもおもしろかったのはよかったが、県大会が終わっても公衆電話の謎は一切わからないままだった。


 それから数年後のこと。インターネットで暇を潰しているとき、公衆電話に電話がかかってくる事について質問していたページを見つけた。


 http://okwave.jp/qa/q5475633.html
 質問者「公衆電話で『1111』にかけたら、電話がかかってくるの?」
 回答者「電話の工事をした時に回線の確認をするために自動的にコールバックしてくる番号が有りました。公衆電話だけでは有りません。今は違うみたいです」


 とのことだった。受話器を取っても返事がなく「ツーツーツー」も聞こえなかったのもコールバックされるだけだったからだったのか。奇怪な謎は、公衆電話のほうではなく、偶然にも電話工事の際にかける番号を発見した遊びたがりな部員のほうであった。


01月01日(火)

 ここ数年、ずっと友達の家で友達数人と年を越すというリア充らしき事をやっていたんですけど、今年はなんか連絡が全然来なかったんですよね。なので、その友達Aに「今年も集まるの?」とメールをしてみたんですよ。12月31日のお昼に送ったんですけど、一向に返事がなくてですね、集まるなら夕方くらいだしそれまでには返事あるかなーと思いながら、ドキドキしながら待ってました。

 でも、返事は来ませんでした。

 …た、たぶん驚かそうと思って返事をしないだけですよ!ね!ね!サプライズですよきっと!毎年同じように集まってもダラダラしてしまうからっていうことで、今年はちゃんとやろうという思いがあってのメール無視だよね!そうだよね!……って思わないとやっていけないわけでして。

 そっから数時間待ったんですけど返事が一切ないので、他の友人Bにもメールで「今日集まるのか聞いてる?」と送ってみました。するとすぐに返事が返ってきました。サプライズじゃないのかよーなんだよーと思いながらメールの中身を確認。

 Postmaster@ezweb.ne.jp

 次の宛先へのメッセージはエラーのため送信できませんでした。

 …あ、あれ?メールアドレス変わっちゃったのかな?教えられてなかったのかな?いやーそうかーそれはしかたないなー。…って思わないとやっていけないわけでして。

 しょうがないのでメールではなく電話をしてみることにしました。メールアドレスを変えられていたわけなので本人が出るのか心配ですが、このまま一人で年を越すという状況だけはなんとしてでも避けたかったので、知らない人でもいいから誰かと話そうという気持ちで電話をしてみました。

 Trrrrrrrr

 Trrrrrrrr

 ガチャ。

 友達B「はい、もしもし?」

 で、出たー!!間違いなく友達だー!

 ぼく「お、友達ー、あのさぁ、」

 友達B「え、誰?」

 …電話番号教えましたよね?教えたよね?なんで削除してるの?交換したの知ってるよ?以前に連絡取ったことも覚えてるよ?なんで連絡先がないの?ねえなんで?…まぁ連絡がつながったから良しとしようか。

 ぼく「あ、三田だけどさ」

 友達B「おう、どうしたん?」

 ぼく「今日集まるのかって聞いてる?」

 友達B「いや聞いてないし今大阪にいるんやけど」

 ぼく「え゛。まじか」

 友達B「6日までなら暇だからそれまでにやるなら集まるよー」

 ぼく「(ちょうど6日まで仕事なんだけど…)…わかったー」

 友達B「んじゃー」

ガチャン ツーツーツー

 出た。友達が出た。出たのはいいけど大阪て。友達A,Bの2人に連絡して、どちらとも地元にいないとかどうなってるの。なんでそんなところでチームワークがいいの。むしろ悪すぎるの。どっちなの。もうどうにもなんねえなあと思いつつ、mixiを見て現実逃避をしようとした矢先、さっき連絡を取ろうとした2人とはまた別の友人Cが数時間前に日記を書いていたことが発覚。これは今日は暇してるんじゃないだろうか?もしかしたら会えるかも?と思い、メッセージを送ってみた。するとすぐに返事が返ってきた。

 友達C「おー、今どこにいるの?」

 ぼく「地元にいるよー!(ドキドキ」

 友達C「そうなんやー、いま大阪にいるわ」

 お 前 も か よ 。

 お 前 も 大 阪 か よ 。

 ぼく「大阪かー」

 友達C「いまは友人Dとその嫁と一緒にいるー」

 …ん?結婚したの?聞いてないんだけど…。おかしいな、毎年集まってる仲なのにどうして何も言われてないんだ。そういえば、友達Dは大阪に住んでいた。さっき電話した友達Bも大阪にいる。つまり、僕以外の友達はみんな大阪にいる。…いや、まだ返事が返ってきてない友達Aがいる!こいつは毎年地元に返ってるしそのうち連絡があるだろう!そんな薄い関係な仲じゃないし!と思った矢先、その友達Aからメールがようやく返ってきた。

 友達A「いまちょっと地元にいないんだわ。」

 お前もかよ!!地名は言ってくれなかったけどなんとなくわかるよ。大阪だろ?わかるよ。うん、わかるよ。これが「仲間はずれ」っていうやつか…。僕の頭の中の国語辞典が少しだけ分厚くなった瞬間だった。

 …待てよ?そういえば、去年の年末に集まったとき、結婚した友達Dが言っていた。

 友達D「俺、来年の年末に結婚式やるから予定開けておいてな」

 と。

 ………。

 開いてますけど。予定開いてますけど。ガラガラですけど。

 おそらく、僕以外の友人たちは友達どうしで楽しく結婚式をワイワイと楽しんでいるのだろう。結婚式の日のために練習していた「バスロマンス/チャットモンチー」を歌うチャンスなど無かった。というか練習なんかしてなかった。練習してたけどしてなかったことにする。結婚式なんてなかった。友達なんて…友達なんて…。

 そのあと、スーパーに行ってビール2缶ほど買い、一人でテレビを見ながらビールを飲んで年を越しました。みなさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。